はじめてフォトは、カメラや写真に関して、初心者の皆様が普段感じている疑問や関心のあることを、わかりやすくご説明するコラムです。
これから、写真を始めたい方、カメラは買ったけれど設定の意味や撮り方がわからない方など、きっとお役に立てると思いますので、どうぞご覧になってください。
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第一回目は、撮影基礎編です。
一般にいい写真と言われるものは、撮った目的(誰に何を伝えるか)が明確なものではないかと思っています。そこで、伝えたいことを分かりやすくする写真の撮り方を整理してみましょう。
今回はその準備と技術的にも失敗の少ない撮影方法を説明していきますね。
構図に決まりはありませんが、主役が不明確であったり配置のバランスが悪かったりすると魅力的な写真になりませんよね。まず、2例ですが構図の違う写真を見てみましょう!
赤いポピーは無造作に配置され、何を撮りたかったのか不明瞭な写真になってしまいました。
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同じ赤いポピーですが、主役をあえてこの2輪に絞った一枚です。迷わずにそこに視線が行く明快な構図ですよね。周辺に咲いていたネモフィラ(水色の小花)を背景に配し、一層この2輪を引き立ててみました。できるだけ主役を絞り不要な要素はなるべく少なくするのもいいと思います。
一面にコスモスが風になびく様子を撮りたかったのでしょうが、うまく伝わらない写真になってしまいました。風に吹かれる様子なら、もう少しコスモスを横から狙い、空が入るくらいにすればなびく姿が可憐に撮れたのではないでしょうか。あるいは目を引くまとまりを見つけて引き立たせる方が良かったのではないでしょうか。
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主役を決める場合、例①のように極力限定する場合もあれば、このように何本かこちらを向いている可愛いまとまりを見つけてその前後をぼかして視点を誘導する方法もいいでしょう。なかなか見つけるのが難しいかもしれませんが、だからこそ伝わる写真になると思いますよ。
1-1 構図作りのルーティン
それではどのようにすれば、見る人に伝わる構図で写真を撮ることができるのでしょうか?正しい構図や決まりはないとは言え、ただ漫然とカメラを向けるだけでは進歩のきっかけも作れませんので、ご参考までに構図作りのルーティンをまとめてみました。
① 撮りたいもの(主役や脇役)を明確にする。(テーマ)
② 背景の絵を意識する。(背景)
③ どこまで写すかイメージする。(画角)
④ カメラを構え覗いてみる。(視認)
⑤ 体を動かして美しく収まる位置を探す。(アングル)
いつもこの5点をクリアしないとシャッターを押せないと考えると、撮影自体がつまらなくなってきそうですよね。最初は撮ったあとに、これらのポイントを振り返るだけでもいいので、少しづつやっていくと体が覚えていくと思いますよ。
ポイントは。。。
写真は引き算と言われています。最初は、極力不要なものは入れないようにと意識するだけでもいいのではないでしょうか。
そして、より魅力的な写真にするために重要なのが、光の選び方です。山肌の木や、鮮やかな紅葉を撮る場合は、一面光が当たる順光がいいのでしょうが、お子様を撮る場合にはきっと眩しそうな顔になってしまいますし、べたっと焼けたような肌の色になってしまいますよね。一般に人の肌を綺麗に、表情を柔らかく撮るには、反逆光や逆光を選ぶことが多いですよ。
強い順光は避け、柔らかい逆光・斜光を選んでみましょう。
ベストな光とは?、、、まず光の向きと写真への影響を理解しておきましょう。
(順光)
被写体の正面から光が当たっている状態で、影ができない代わりに立体感のない、べたっとした写真になってしまいます。
広がる風景や紅葉になった山を、引いて撮るような場合は色も綺麗に明るさも均一な写真になっていいでしょうが、人の場合には眩しいので目が細くなり、楽しそうな表情が出にくくなってしまいます。また、顔全面に光が当たるので、少し焼けたような色になりがちです。
(斜光)
斜光(サイド光)とは、被写体の横から光が当たっている状態です。立体感や質感を出すのに適していますが、光が強い場合は明暗の差が強くなり、人物の場合男性的な力感のある写真になってきます。女性やお子様を撮影する場合は、薄曇りなど柔らかい日差しの時に選ぶのがいいでしょう。
(逆光)
逆光とは、被写体の後ろから光が当たっている状態です。皆様もよく経験するでしょうが、人の顔が暗くなってしまう光の向きですね。でも実はカメラの設定次第で被写体が浮かび上がるように一番キラキラの写真が撮れる向きなのです。
光の向きについてご説明しましたが、もちろんその時の日の角度や強さによっても選び方は変わってくる、ある意味とても厄介な要素なのです。
お子様を始め人物を撮る時のおすすめは、最後の逆光です。眩しい顔が避けられるのはもちろん、頭の輪郭がきらっと光り、ふんわりした優しい写真が撮れるからです。
注意しなければいけないのは、カメラの目線の高さに太陽がある場合は、逆光が直接レンズに入って被写体の表情を捉えることができない場合がありますので、カメラのフレームに太陽が入らない位置で撮ってみましょう。全くの逆光より少し斜光に寄った半逆光くらいがいいでしょう。そしてカンカン照りより薄く雲がかかった柔らかい日差しが一番だと思いますよ。
1-2 構図の基本パターン
そして次は構図の基本パターンです。迷った時に活用してみましょう。
三分割法 : 縦と横を三分割してその線上か交点に主役を配置する構図です。
最も馴染みのある基本構図ですが、やや無難過ぎて趣きに欠ける印象かもしれません。その場合この4点より少し外側に置くとオシャレ感が増してくると思いますよ。
また、複数の被写体を配置する場合、同じ対角線上の向き合う位置に置くと安定感が出てきます。
それでは、三分割法で主役の配置を意識した3枚を見ていきましょう。
主役は、左上の交点近くにある太陽です。そして、太陽から下に伸びる海面での反射がほぼ左の縦の分割線上にきていますね。この写真では、水平線で上下に分かれる二分割法にも準じ、海面に浮かぶ蛎殻筏(カキいかだ)の綺麗な分散も構図全体をリズミカルにまとめてくれていますね。
主役は、もちろん右下の交点にある赤いお花です。ただし、これだけで他は緑の葉だけだと寂しい写真になりますが、すぐ隣に開花前のつぼみが存在感を出しており、さらに対角線上の向き合う位置に、紫の花が対角線の向きと同じ流れで配列され空間に広がりや彩を添えていますよね。
主役は小舟ですが、三分割法の左下の交点より外側に配置されていますね。おそらく四分割上の交点に近い位置かと思います。でも構図として安定感を欠いていないのは、雲が右に広がり、水面にもそれが映り右の世界が寂しくないからです。こんな時は三分割上の交点より、外側にした方が世界が広がると思いますよ。
2ー1 表現作りのルーティン
表情(印象)作りのルーティンとは、主役(and脇役)の魅力的な表情を引き出すとともに写真全体の印象を決定づける作業です。
以下の要素をイメージした後カメラの設定を操作します。
1.どこをぼかすのか? ぼかさないのか?(絞り)
2.明るくするのか? 暗めにするのか?(露出補正)
3.色合いをどうするか?暖色(赤め)か寒色(青め)か?(ホワイトバランス)
ここで、実際にカメラを持ち出し設定を開始しましょう。
設定を開始する前に、まずカメラの機能を確認しておきましょう。
2ー2 カメラの機能
ここでは、カメラの主要な機能である絞り、シャッタースピード、ISO感度について学び、これら3機能の関係を理解します。
(1)絞りの役割: 光が入ってくる入口の広さをコントロールするのと、被写界深度(ピントが合っているように見える範囲)のコントロールをします。
絞り値(F値)は大きいほど光の通る口径が小さくなり入ってくる光の量が少なくなります。また、数値が増える毎に入ってくる光の量は半分に減っていきます。
(2)シャッタースピードの役割: 入ってくる光の時間をコントロールします。動いている被写体を止めて写したい場合は速いシャッタースピードで、水の流れなど動感を強調したい場合は遅いシャッタースピードを選びます。
なお、以下に並べる組み合わせは何れも同じ明るさになります。
2ー3 カメラの設定
素敵な一枚を撮るための基本的な設定を紹介します。
1.ISO感度:目安 屋外400、屋内(日中)800、屋内(夜間)1200
2.露出モード:絞り優先オート
3.フォーカス:オートフォーカスの1点にしましょう。
4.ホワイトバランス:オート
5.ピクチャーコントロール/スタイル:スタンダード
6.記録方式:JPEG
7.画質:FINE
8.サイズ:L