今年10月に展示した作品。
「父と夫」
今回のブログでは作品の解説をさせていただきます。
テーマにしたのは「家族の日常」。
当初から家族のありのままの日常を作品にしていきたいと思っていました。
ただ被写体が決まっておらず、身近にいる両親を撮ってみようかなと軽い気持ちで写真を撮り始めました。
(子供を撮影するのが大好きなので本当はお子さんのいるご家族に撮らせていただきたいなと思ったのですが、何回もお会いして…と考えると現実的に難しいかなと思い、泣く泣く諦めました。。)
神島塾第二回目の前日。
両親が写った写真をプリントして手に取って見返していると
「父と夫の姿や行動が何となく似てないか!?」
と感じるようになりました。
そこから
「二人を対比してみてはどうかな?」
と思いこの二人を対比するような形で作品作りをしていくことにしました。
8ヶ月間で1000枚以上の写真は撮ったのではないでしょうか。
その中から数百枚プリントして先生や塾生の意見をいただきながら今回の展示作品を決めました。
選び抜かれた写真たちです↓
作品の解説とともにご覧ください。
二人のツーショット写真。
一生懸命掃除しているロボット掃除機を全く気にせず二人仲良くスマホをみている瞬間です。
ツーショット写真を作品の中心に配置し、父と夫の似ている姿を対角に位置するようにレイアウトをしました。
それぞれの写真の解説です↓
設計士の父はDIYが生活の一部になっています。
この日は母からのリクエストで棚を作っていました。
また、父は戦後すぐに生まれました。
物資のない時代です。
ですので、ものを最後まで大切に使う習慣が身についています。
上の写真の掃除機の先をよくよく見るとプリンカップを付けています。
食べ終わったプリンカップを掃除機の先につけると掃除機の先端が傷まず長持ちします。
プリンカップもそのまま捨てるのではなくて再利用して最後の役割を果たしてから捨てています。
DIY好きの父親がものを大切にする心を撮影した1枚です。
夫の日常の一コマ。
忙しい朝。
朝が弱い夫は無理やり起こされ朝食を食べて出勤する準備です。
散らかったテーブル。
父と夫の姿。
何か似ているものを感じこちらの2枚をセレクトして対比させる形で展示しました。
朝の父。
父は歳を重ねるごとに早起きになってきています。
朝食を済ませ、ソファーでテレビを見ながらスマホをしていると睡魔が…
スマホを操作する指は立てているものの熟睡中です。
朝寝と昼寝を欠かさない父なのでした。
夜の夫。
お風呂はこのスタイルで3時間。(ドアも開けた状態で入っています。)
ゲームをしているのでしょうか…
1週間の疲れが溜まっていたのかこの日はいつもよりクタッとしていました。
スマホを手に至福の時間を過ごす父と夫。
やる事、なす事似ているなぁ…
こちらの2枚を対比させ、対角上にレイアウトしました。
再利用が得意な父。
再利用できないものを見極めるのも得意です。
上の和菓子のカップは再利用できないと思ったのか、捨てていました。
捨てる前にカップを洗ってから捨てる。
丁寧な生活をしています。
夫はというと…
ものを捨てられません^^
トイレットペーパーを替えると、替えたことに満足してしまい捨てるのを忘れてしまうようです。
余談ですが、この写真は忙しくてなかなか撮れなかったんです。
試しに夫に何も言わずにいたら3日間この状態をキープです。笑
トイレットペーパーを発見してから3日後、無事に時間が取れてシャッターを切ることができました◎
ものから伝わる人柄も作品にしました。
「ものを大切に最後まで使う父」「ものを捨てられない夫」
似ているけどどこか違う感じを対比させました。
キッチンに貼り付けてあるものは卵のラベルシールです。
ラベルシールはまだ粘着力が残っているので使いやすいサイズにカットして再利用しています。
ゴミ袋を捨てる前にこのテープを貼って最後まで大切に使っています。
「父」か「夫」か紹介していませんが、どちらかわかりますよね^^
朝の悲劇!!
朝食の準備をしようと野菜室を開けたら枯れた大根の葉の登場です。。。
前日の夜、切り落とした大根の葉を翌日の味噌汁に入れようとそのまま野菜室に入れてしまったようです。
残念ながらこの葉っぱは食べられずに終わりました。
食べ物を大切にする気持ち、無駄にしないという気持ちが父と似ているなと思いこちらを選びました。
写真展会期中、この写真を見て
「わかる、わかる◎」
「うちもやります!」
と共感してくださる方がたくさんいらっしゃいました^^
ステートメント
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「父と夫」
大切な人のありのままの日常を覗いてみた
似ているけれど どこか違う感じもする二人
父を見ていると将来の夫の姿を想像し
夫を見ていると若い頃の父の姿を思い起こした
大切な二人
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最初は似ているかな?
と思い撮り始めた二人。
やる事、なす事、考える事は似ていて一見「似てるじゃん!!」と思いましたが、行動の結果を見ているとどこか違う感じもしました。
父を見て、夫は将来こんな風になるのかなと想像してみたり。
夫を見て、若い頃の父はこんな生活をしていたのかなと思い起こしたり。
将来は今の姿が逆転するのかなと思ってみたり。
ものを大切にする姿も
疲れてクタッとしている姿も
あれっ?と思うことをしてくれる日も
どれも大切な日常。
何もない日常に感謝しながらこれからも大切な二人を見守っていきたいと思います。
以上、神島塾八期生で展示した作品の解説になります。
改めまして神島塾八期生展にお越しいただいた皆様、行きたいなと思ってくださった皆様、本当にありがとうございました!!
ご来場いただいたプロの写真家さんからも
「居心地の良い写真展でした。」
「作者の気持ちがすーっと入ってきました。」
「楽しい!!」
「じっくりと見ていて、いつまでも居たい写真展!」
「ホットとする幸せを共感できた。」
とご感想をいただいたそうです。
本当にありがとうございます。
神島先生からは「今までにない評価で塾生の心が伝わった作品でした」とご報告をいただきました。
以下、先生からのご挨拶です。
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神島塾とは「勇気と裏付けを持ってチャレンジし心から撮りたいと思う被写体に巡り合い、そこから本当の写真に向き合うことを経験できる場」です。
自分の写真表現を色や形を思い通りにさらけ出し、
伝えるのではなく伝わる写真を目指します。
8期生も悩み、思考し、写真のことだけ考えた8ヶ月間、
自身のことだけではなく仲間の写真のことを己の作品のごとく考え
議論しながら創り続けてきました。
塾生の写真を読み解いてください。
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12月には来期の「神島塾9期生」の募集が始まるそうです。
来期はどのような作品が並ぶのか、どのような雰囲気の写真展になるのか今からとても楽しみです。
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